和を想う ~池田社長ブログ~

懐石料理と会席料理の違い

 

 一言でいえば、懐石は抹茶をおいしく頂くための料理。会席はお酒をおいしく頂くための料理です。

和の文化や歴史・本膳料理・和を想う・元気の出る話ブログ和想館
本膳料理

 そもそも、おもてなしの料理としては、室町時代に、本膳料理という形式が確立します。これは、最初に三献のお酒を頂くという儀式から始まり、数点の膳の上に美しい器に盛られた豪華な料理を決められた手順で食していく料理でした。

和を想う・元気の出る話・本膳料理ブログ和想館
懐石料理

 これに対して、茶道を確立した千利休が、懐石料理を考案。茶道の目指すところは禅と同じく、心を無にし宇宙と一体となること。客人に一服のおいしいお茶をお出しすることに気持ちを集中することで、雑念を払い心を無に近づけていくのです。

茶が主役で、食事はあくまでも脇役。だから、料理は一汁三菜の最低限度の質素なものでいい。味が濃かったり、油っぽかったり、季節外れの奇をてらったものだと、茶を味わう味覚を損なうおそれがある。それで、季節のものを、その本来持つ味を楽しんでもらえる形で出す。また、客人に喜んでいただくのが茶道の目的なので、熱いものは熱いうちに冷たいものは冷たいうちにお出しする。これが懐石料理です。

食事は眠気や頭の働きを低下させるので、禅の修行中は最低限度の食事しかとりません。時として、僧は空腹感を抑えるために懐に石を入れてしのぐ。ここから、茶席で出されるこの質素なおもてなしの料理を、懐(の)石(の)料理と呼ぶようになったそうです。

和を想う・元気の出る話・本膳料理ブログ和想館
会席料理

 利休が活躍したのは戦国時代。その後争いが鎮まり平和な江戸時代になると、会食の機会が増えます。そこにおいて本膳料理のように堅苦しい作法を抜きにして、気楽に酒と料理を楽しみたいという声が高まり、広まったのが会席料理です。お客は最初から酒を飲みながら、出てくるものをどんどん食べていけばよく、本膳料理のように特に儀式めいた決まりごとも、懐石のような質素さもありません。そして会席料理は現代も息づいています。  

時としてあえて茶室でもないのに「懐石料理〇〇」なんて看板を見かけることがありませんか。これは懐石料理のような細やかな客人への心配りで会席料理を提供いたします、との店主のアピールなのですね。

 

本記事の内容をより詳しくお話しする動画をYouTubeで配信中!

【質問】懐石と会席の違いって何?【池田社長がお答えします!】

 

  他の記事を読む